色々な怪獣


19 抜き身の刃物

グッドデザイン賞というものがある。
特定分野で、その名の通り優れたデザインのものに与えられる賞ですが、
私は「怪獣(鳥型)部門」において彼を推薦したい!


ガメラの宿敵「ギャオス」です。
世の中には色々な「鳥型怪獣」がいるが、このギャオスほど完成され、美しいものはないといつも思う。
シャープな直線を多用した姿形。
特にこの飛行形態はため息が出るほど美しい。
逆三角形の大きな翼が一文字に伸び、
それと平行になる、水平に切り取られた頭頂部。
そこから耳にかけての鋭角のエッジ。
更にそこから始まる背骨のライン!
その反った大きな円弧が、より各部の直線と鋭角を際立てる!
これらから受ける印象は、鋭くとがった「抜き身の刃物」
冷たく光り、とても近寄れない、恐ろしい印象…

まさに、そのイメージは正しく、
劇中におけるギャオスは「怪獣」以上の「悪魔怪獣」であった。
今までの怪獣は、邪魔をすれば人間を殺す。
しかしギャオスはその血肉を求め積極的に殺戮を続けた

人間を餌として襲ってくる怪獣、これは衝撃的であり恐怖であった。
以前お話したケムール人「理解できない恐怖」だったのに対して、
このギャオスは「もっと直接的な圧倒的な恐怖」でした。
更にその武器が、「超音波メス」
体内で超高域の音波を振動反復させ口から出す。
その音波は大気を振動、沸騰させつき進む。
万が一それに触れよう物ならば…
すべてのものは、真っ二つ!
気付く間もなく、ただ冷たい感触を受けこと切れる…
正にギャオスのためのような武器である。

一方敵対するガメラはというと、
丸くずんぐりとした「円」を基調とした姿形。
武器は拡散していく、熱い「火炎放射」
破壊はするが、邪魔をしなければ襲ってはこない。
だからギャオスとガメラとは対極に位置している。


怪獣映画でありながら、怪獣双方のキャラクターが立っており、
また各々が魅力に溢れていた。

余談ですが…
劇中ギャオスがガメラに足首をかぶりつかれ、
海中に引きずり込まれそうになる正に絶体絶命のシーンを、、
なんとギャオスは自分のその足を超音波メスで切断切り抜けるのです!
そして苦痛に満ちた表情で巣に逃げ帰ります。


これには、幼かった私は心底驚きました!
「ここまでするんだ!」
私の頭の中では、以前見た時代劇のワンシーンとダブりました。
捕らわれた侍が自分の足を刀で切断し、脱出するシーン。
その侍とギャオスが重なって見えました。
また同時に、
生に対するギャオスの、野生生物としての執念を見た気がしました。
そしてこの時、私はギャオスに魅せられてしまいました。


ゴジラで一気に駆け上った「東映」に対して、ガメラで「大映」が売りに出た喧嘩。
無論それは一回も勝つことの無かった喧嘩ですが、
少なくとも同じ土俵で戦い、一時は相手を肝胆寒からしめた。
その最初のステップは、このギャオスであったと確信しております。



おまけ

やはり皆思いは同じなのか、平成ガメラ復活時の最初の敵役はやっぱりギャオスでした!
あの平成ギャオスも素晴らしい!




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